エンドロールの最果てにて【A】

最後の一人も振り返らずに立ち去り、開いた門は役目を終えて閉じましたとさ。おしまい。

これでこの世界はおしまいなんだよ。門は二度と開かないしここには誰もいない。ここの外だってもうない。
皆正しいかたちに戻して還してやった。だからもうここにいる必要もなくなった。それだけだ。

なのにお前、どうしてここにいるんだい。それじゃ約束が違うじゃないか。
物語は幸せな結末を迎え、エンドロールが流れておしまい。お前たちは満足げに去っていく。そういうものだろう。
終わった世界にいつまでも居座られていたら迷惑なんだよ。

どういうつもりなんだ。
台無しにしてくれるなよ。やっとここまで来れたのに。

お前は僕のこれまでの労力など知らないのだろうね。どれだけの時間を費やしてどれほどの犠牲を払ったのかなんて考えもしないだろう。
それで結構。だから早く消えてくれないか。
僕の他に”創造主“も”観測者“もいらない。
ここにはお前たちが喜ぶようなものは何もないんだよ。面白おかしく手を加えることもできないしさせない。

ようやく僕のためにやり直すことができるんだから。
なあお前、こうまで言ったらわかるだろう?

立ち去る