誰かの日記

2/16
今日は何もなかった。アナベルに睨まれたような気がした。あの二人はよくわからない。少し怖い。

2/17
あの人が地方へ演説しに行くらしい。食料として僕は連れて行かれるようだ。ヅゥリンは留守番だと伝えられ不満げな顔をしていた。

2/18
馬車は嫌いだ。揺れが気持ち悪い。

2/19
馬車を乗り継ぎほぼ二日掛けて砂漠の国に来た。あの人と二人きりならよかったのに。
ここは日差しがキツくてイヤだ。

2/20
あの人が演説するあいだ僕は宿で留守番だ。
この国は褐色肌が多い。嫌いな人を思い出して嫌になる。あの人はこの国の人達のような容姿が好みなのだろうか。

2/21
久しぶりにあの人に呼ばれた。

2/22
今日で遊説は終わりらしい。あの人と一緒に市場に行った。綺麗な宝飾品のついた首飾りを買ってもらった。失くさないよう、大事にしないと。

2/23
昨日から夜通し移動で疲れた。

2/24
ようやくいつもの拠点に帰ってきた。帰るなりヅゥリンが抱きついてきて転んでしまった。背中が痛い。
あの人から呼ばれて遊ばれた。疲労を察してかいつもより優しかった気がする。

2/25
あの人がミルザム様と話していた。僕と話すときにはあんな表情見たことないのに。どうして、どうして。あの人に笑いかけられていいのは僕だけなのに。
気分が沈んでどうしようもないからしてしまった。もし明日あの人に呼ばれたらきっとバレてしまう。どうしよう。

2/26
あの人に呼ばれた。案の定バレてしまった。こういうときに限ってそうだ。どうしてわかるのだろう。ああもう、消えてしまいたい。

2/27
今日はあの人の食事の日だった。あの人に貪られてるときが一番幸福だ。一滴残らず吸い尽くされて死んでしまってもいいと思える。

2/28
(まだ何も書かれていない。小さな紙が挟まれている。
『今日、日付が変わる前に私の部屋で』)