猟奇

ひとがこいにおちるおと-B

はじめはなんか見てくるやつがいたからさぁ、少しからかってやろうと思ったんだけど。 なんかね、少しつけて行ったら勝手におかしくなっちゃったんだよねえ。まあ俺に興味持っちゃう時点でどうしようもないタイプとは思ってたけどさー、まさか勝手に幻覚見て…

ひとがこいにおちるおと-A

それきりそれを見ることはもうない、というのが普通なはずなのに。それなのに、喫茶店を出て友人を合流してからもあの赤い影がチラチラとつきまとっているような気がしてしょうがなかった。ガラスの映り込み、噴水の水の反射、人混みの中に混ざる赤い髪。本当…

眠るための唯一の簡単な方法

いつだったか、殺そうとしたやつに言った覚えがある。「望まれず生まれたやつが望まれて死ぬだけだ」と。許しを乞うそれを鼻で笑ってそのまま首を掻き切った。ただふと思い出しただけ。特にそいつに思い入れも感慨もない。……だったら、俺は何?あれが望まれ…

面白くない話

「ああ、別に面白くもなんともない話なんだけどね」赤い髪を一つに括った彼はそのまま続けた。前に俺が人を殺す姿が何より美しいって変に慕ってくるやつがいてさ。なんか面白かったからそのまましばらく一緒にいたんだよね。こき使われてくれて便利だったし。…